第11回 光通信技術の応用例(計測編)
警報システム
オプトエレクトロニクスの応用例として我々の前に最初に登場したのが、赤外線を用いた警報システムです。赤外線は人間には見えませんから、不審者が侵入した場合、この赤外線が不審者に遮られて赤外線感知器が作動するシステムです(つまり常時受けていた赤外線が検知されなくて警報を発するのです)。これは以前から007などの映画にも出てくる簡単なシステムですが、欠点もあります。赤外線を遮るのは泥棒だけでなく、落ち葉や犬、猫でも遮ってしまい、警報を発してしまいます。現在では通過した物体の大きさなども考慮する積分回路も取入れて誤作動しないように工夫されています。
カウンター
よく工場で見かける装置に個数を数えるカウンターがあります。人間が数えるよりも速く、正確に個数を数えます。図1にその簡単な応用例と検出回路を示します。これはフォトインタラプタの応用の1種ですが、通過する物体が光を遮断する度にカウンター回路に信号を送り、カウンター回路は個数を数えていきます。
図11-1 カウンター(コンベアライン)
距離計
距離を測る際は、オートフォーカスを使って正確な値を算出できます。これは人間の目の働きと同じ原理を使っています。人間の目は2個あります。この複眼によって我々は物体までの距離を、無意識に知覚しているのです。つまり両眼の距離を利用して物体までの距離を角度で把握し、この角度から瞬時に距離を推定しているのです。この原理を応用したのが図2です。図2にはイメージセンサを利用した距離計の原理が示されております。イメージセンサの中央にプリズムを配置し、左右対称にミラーが一定間隔に固定してあります。図では右側のミラーの角度は45度に固定し、左側のミラーは可動にしてあります。原理は次のようになります。物体までの距離を測定する場合、右側の45度のミラーに合わせてイメージセンサに像を結ばせると、左側のミラーは距離に合わせて角度を調整しなければなりません。例えば右側と同じように45度傾けた場合、図のように当然プリズムに光はあたらづ、従ってイメージセンサに像を結びません。左側のミラーを少しづつ動かしていって、イメージセンサ上でセンターから対称のところに像を結んだ時の左側のミラーの角度をθとすると、物体までの距離Lは、
L = d × tan(π-2θ)
ここでL=物体までの距離, d=イメージセンサの長さ, θ=左側ミラーの角度となります。イメージセンサはいくつかのフォトダイオード(受光素子)からなる光検出部であり、光が当たった素子のみが像を結びます。左右の像のバランスが取れればいいのです。物体が遠くになればなるほど、θの値は45度に近づきます。つまりtan(タンジェント)の値は限りなく大きくなっていき、距離は大となります。
図11-2 距離計