第7回 受光素子
光通信の主役三人衆ということで、光ケーブル、発光素子、受光素子がありますが、この連載の第5回で光ケーブル、第6回で発光素子の解説を行いました。今回は受光素子について説明します。この三人衆の関係は、図7-1を見てください。
半導体は、外部からの刺激(stimulus)に非常に敏感です。たとえば、電界(electrical field)、光などに対する反応が優れています。従って半導体は電界や光のセンサとしても利用されています、光センサ(optical sensor)としては、光導電セルのCdS(硫化カドミウム;cadmium sulfide)、フォトダイオード、フォトトランジスタなどがあります。
私達は気がつかないところで、すでにこの発光・受光素子を利用しています。例えばTV等のリモコンです。リモコンの先からは、目には見えませんが、赤外線(infrared rays)が出されています。この赤外線を出すのは、赤外発光ダイオードです。リモコンを押すと、ダイオードから赤外線が出て、TVの受光ダイオードによってキャッチされ、スイッチをオン/オフしたり、チャンネルを切り替えるのです。
受光素子としては、光導電型(photoconductive)、光起電型(photovoltanic)、熱電効果型(thermoelectric effect)、光電子放出型(photoelectron emission)があります。光導電型にはCdS、PbS(硫化鉛)、Se(セレン)などがあり、光起電型にはフォトダイオード、太陽電池(solar battery)、フォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード(APD;avalanche photodiode)など多数あります。アバランシェとは「なだれ現象」という意味です。熱電効果型、光電子放出型については省略し、フォトダイオードについて構造と原理を分かりやすく説明しましょう。
フォトダイオード
図7-2を見てください。フォトダイオードは、pn接合を持つ半導体で、光起電効果を示す基本的な素子です。(a)において、pn接合に光が当たると、電子と正孔のペアが生成され、p領域には正孔が、n領域には電子が集まります。これらがプラスとマイナスの電極を通じて光電流として取り出されます。SiO2(二酸化シリコン;silicon dioxide)は絶縁保護膜としての役割です。(b)はその電流電圧の特性曲線です。破線は光がない場合の電流電圧曲線です。これは一般のダイオードの特性と同じです。入射光線があると、曲線は下のほうにずれていきます。このずれ方は入射光量に比例します。短絡時(電極のプラスとマイナスをつなぐ)には、電流ICOが得られ、開放時(両端がオープン)には、電圧VCOが得られます。この関係を等価回路(equivalent circuit)で(c)に示します。フォトダイオードは、測定可能な光の強度範囲が広く、応答性も良好なため、いろいろな光信号の受信用に利用されています。図7-2(a)の中で、pとnの間に絶縁層(insulation layer)を挿入すると、PINダイオードになります。応答が速く、光電流特性が良好で、いろいろなケースに利用されています。
その他の受講素子
また、アバランシェフォトダイオードは、微弱な光の検出に多く利用されています。詳細原理は略します。