翻訳に役立つ科学講座

1999年~2000年「通訳翻訳ジャーナル」(イカロス出版)に連載していたものを元に再構成しています

第12回 光通信技術の応用例(光ディスク) 

現在では我々の生活はVD(Video Disc)やDAD(Digital Audio Disc)抜きでは考えられないようになってきているようです。レーザを一般家庭に持ち込んだのはVDです。特に日本においてはカラオケ装置として活躍しています。DADは別名CDですが、この名前の方が今で…

第11回 光通信技術の応用例(計測編)

警報システム オプトエレクトロニクスの応用例として我々の前に最初に登場したのが、赤外線を用いた警報システムです。赤外線は人間には見えませんから、不審者が侵入した場合、この赤外線が不審者に遮られて赤外線感知器が作動するシステムです(つまり常時…

第10回 情報スーパーハイウエイとインターネット

20世紀の商品は鉄鋼、自動車、テレビ等でした。これらは21世紀においても市場経済の重要な品目としてとどまるでしょうが、産業をリードする牽引車とはならないでしょう。時代は変わっていきます。孫会長がいうには、世界市場を引っ張るのは「情報」という商…

第9回 光中継器と光アンプ

信号を遠くに伝送する場合、信号はそのままの大きさと形状では目的地には届きません。信号は必ず減衰するものです。私達が話している声は、少し離れた場所ではうまく聞き取れません。そのためにメガホンを使ったり、スピーカを使って大きな声にしています。…

第8回 変調方式と波長分割多重

変調方式(modulation) 私たちの音声(原信号:Base Band Signal)などは電波に変換して、すぐに遠方には伝送できません。音声や映像(image)データをそのままの波形で伝送するのが、アナログベースバンド方式といいますが、波形が歪んでしまうので、近距…

第7回 受光素子

光通信の主役三人衆ということで、光ケーブル、発光素子、受光素子がありますが、この連載の第5回で光ケーブル、第6回で発光素子の解説を行いました。今回は受光素子について説明します。この三人衆の関係は、図7-1を見てください。 半導体は、外部からの刺…

第6回 発光素子

光通信の主役級は3人と考えていいでしょう。光ファイバ(optical fiber)、発光素子(LED:light emitting diodeなど)、および受光素子(PD: photo diodeなど)です。光ファイバは第3回目の解説で説明しました。今月は発光素子、来月号で受光素子の話をします。発…

第5回 ダイオードとpn接合

p型半導体はシリコンにホウ素(boron)等を添加したものです。この半導体には正の電荷を持つ正孔(hole)が多く(rich)あります。ホウ素のように正孔を作り出す添加物をアクセプタ(acceptor)と呼びます。一方、n型半導体はリン(phosphorus)等をシリコンに添加し…

第4回 半導体

半導体の「ダイオード」や「トランジスタ」などの基本素子について、避けて通うろうとする方がいますが、感心しません。技術翻訳には、コンピュータ翻訳であれ、通信マルチメディア関連、特許やその他の産業の翻訳であれ、半導体は必ず出てきます。翻訳家と…

第3回 光ファイバ

今回は光ファイバ(optical fiber)の解説をいたします。第1回目で、光の波動性(wave)と粒子性 (particle)について、2回目では光から電気に、又電気から光に変換(transform)することと、変調(modulation)と復調(demodulation)を学びました。 光ファイバの試…

第2回 光通信システムの構成

光通信の基本的な要素を図2-1に示します。信号は、先ず変調され(modulate)、次に電気から光にと変換(transform)され、伝送路(transmission line)を通って、今度は逆に光から電気へと変換され、復調(demodulate)され、最後に信号出力として取り出されます。…

第1回 光の粒子性と波動性

光は波か、粒子か? 光は波(wave)か、それとも粒子(particle)か?という論争は遠くギリシャの時代からあったらしいのです。光は直進するということ、物体に当たると入射した角度と同じ角度で反射されるということや、光が水面の波のようにうしろ側にまわ…

「翻訳に役立つ科学講座」とは

今月から12回にわたって光通信(Optical Communication)の解説をしていきます。 「翻訳家にとって、近い将来どの分野の需要が高いか?」とよく質問を受けます。 私は迷わず「IT関連、その中でも光通信です」と答えています。21世紀初頭にはFTTH(Fiber To The …